​詳しく解説!稚児衣装の着付け方

こんにちは。浄土真宗の各寺院では「報恩講法要」のシーズンを迎えています。またこの時期は「継職法要」の時期でもあり、各法要に併せて「稚児行列」が行われます。

そんな稚児行列は、子どもたちにとっても親御さんにとっても大切な思い出となりますが、その着付けは大変なもの……そこで今回は、ナオシチがお稚児さんの衣装の着付け方を、詳細に解説させていただきます。

※稚児(ちご)とは「お稚児さん」「稚児行列」ともいい、門徒さんのお子さまや地域のお子さまを招き、きらびやかな衣装を着て、お寺の周辺を練り歩きます。

浄土真宗のお寺では報恩講法要のほか、お釈迦様の誕生日を祝う行事「花まつり」や、住職が代替わりしたときの「住職継職奉告法要」などで行います。

行事を通して子どもたちの健やかな成長を願うとともに、改めて仏様の救いにあずかっていることを喜ばせていただきます。

稚児衣装を着る前に

(1)お手洗いを済ませる

稚児衣装は脱ぐのも大変です。また、行事の内容次第では、1時間以上ずっと稚児衣装を着ておく必要もあります。着付けを始める前に、お手洗いを済ませておきましょう。

(2)草履と足袋を試し履きする

草履はかかとが少し出るくらいのサイズをお選びいただくのがベストです。なお、草履と足袋でなく、靴下と靴のケースもあります。

稚児衣装の着付け方

0. 心がけ

一つ一つのポイントをしっかり押さえ、自己流でなく基本に忠実にすることが、キレイに着付けるコツです。ゆっくり確実に進めていきましょう。

1. 白い襦袢を着る

襦袢の袖は2箇所穴が空いていますが、左右ともに「上の穴」に腕を通します。
両方の袖に腕を通したら、左前で合わせます。

2. 襦袢を腰紐で固定する

襦袢をやわらかい腰紐で固定します。

腰紐の真ん中あたりを身体の前面にあて、後ろ(背中)の方へと回します。お子さんのウエストにより紐が長く余ったときは、二重に回します。

適切な長さに調節し、前面で蝶々結びをします。もし、紐が長く余った場合は、回した紐に巻き付け、必要以上に紐が垂れないようにしてください。

襦袢の襟合わせは、あとから修正しにくい部分なので、この時点で襟まわりがキレイにみえるよう、きっちり合わせましょう。

3. 金襴を着る

金襴も襦袢と同じく、左右の袖が通るような形をしていますが「袖は通さず」、袖ではない2枚の布部分を、両肩にかけます。襦袢同様、左前にしてください。

この際も、後ろの襟がずれ落ちないよう、しっかり襦袢の襟と合わせてください。

4. 金襴をマジックベルトで固定する

金襴の位置が定まったら、マジックベルトで固定します。マジックベルトの「ザラザラがついていない方」を前面にあて、後ろへ回します。この際、マジックベルトは後ろの「金襴の下」を通してください。

マジックベルトを一周し前面に戻した際、キュッとクロスに引っ張りマジックを付けると、しっかり固定され、ズレにくくなります。

5. 袴を履く

袴は前後ろの区別がありません。まずは、左右の足を通してください。袴の前紐を、先程固定したマジックベルトの上にあて、後ろに回します。

この際も、金襴の下(内側)を通し、後ろで蝶々結びをします。ここでも「マジックベルトの上」で蝶々結びをすると、ズレにくくなります。なお、稚児行列で歩いていると、下にズレてくる場合もあるので、袴の裾は少々短くとも問題ありません。

襦袢同様、あとから修正しにくい部分なので、一つ一つのポイントをしっかり押さえ、自己流でなく基本に忠実にすることが、キレイに着付けるコツです。

6. 帯を巻く

帯の中央を持ち、細長く「3分の1」になるよう折ってください。

そして、山折りになっている部分を上にして、前のマジックベルトにあてます。マジックベルトや腰紐を隠すようなイメージであて、帯を背中側に回します。

ここでのポイントは「帯だけは後ろの金襴の上」を通します。マジックベルトや腰紐は「金襴の下」でしたが、帯は「金襴の上」です。

帯を再び前に回し、前面の少し左寄りで「蝶々結びか片結び」をし、完成です。

金襴の背中側の端が、帯を巻いたことで内に寄っている(めくれて裏地が見えている)ときは、外側に広げ(めくれを直し)形を整えてください。

7. 冠をつける

冠は、男の子と女の子で形が違います。大人2人1組で、一人は紐を結び、もう一人は冠を固定するとやりやすいです。

<男の子>

冠を頭に当て、まずは「紫の紐」を結びます。

紫の紐が耳の前を通り、垂直に垂れ落ちるあたりで、冠を支えます。

位置を定め、顎の下で紫の紐を蝶々結びします。痛くない程度にしっかり結んでください。

続いて「黒の紐」を結びます。2本それぞれ左右の耳の下で、紫の紐に絡め留めます。耳の下に玉をつくるイメージです。

耳の下で黒の紐を、紫色の紐の【外から内・下から上】に通してください。内から外や上から下に紐を通してしまうと、冠がズレ落ちやすくなります。

左右それぞれ通して後ろに回し、蝶々結びして完成です。

<女の子>

冠には「大中小」があります。大と中は、中央の飾りが取れ、組み立て式になっています。小は取れず、固定式です。

前後間違わないよう、冠を頭に乗せます。①耳を通す部分と、②後頭部に渡る部分は可動します。

①耳の下に玉がくるよう、長さを調整します。

②後頭部に渡る紐は、後ろで髪をくくっている方は、その下にくるよう位置を調整すると、固定しやすくなります。

①耳を通す部分と、②後頭部に渡る部分の位置を調整し、耳の下に玉がきていることを確認します。

ここでのポイントは、一人が冠を固定しながら、もう一人が左右の紐を下にキュッと引っ張ります。こうすることで、冠が頭に沿い、より落ちにくくなります。

最後に、顎の下で蝶々結びをします。男の子同様、痛くならない程度にしっかり結んでください。

8. 眉頭に黒い点々をつける

最後の仕上げに、両眉頭に「殿上眉(てんじょうまゆ)」という黒い点々をつけます。スタッフまでお声がけください。

9. 花と念珠を持ち完成です!

よくある質問

Q.お稚児さんはいつから募集をかけたら良いですか?

A.こまめに募集をしていきましょう。

Q.着付けはだいたい何分ぐらいでできますか?

A.一人当たり20分、全員の着付けが完了するには、人数にもよりますが、およそ1時間~1時間半ほどをみてください。

Q.足袋と草履がない場合、おすすめの靴や靴下はありますか?

A.普段履き慣れておられる靴や靴下を履いてください。

Q.すべてレンタルですか?

A.ご注文内容により異なります。念珠は記念品として持ち帰ることもできますので、ご相談ください。

Q.稚児行列で歩く際、どういうことに気をつけるとよいですか?

A.子どもたちには、着付け開始から行列まで、長時間活動していただくことになります。とくに暑い日には、なれない重ね着で気分を悪くされるお子様もおられます。あまり厚着はせず、こまめに水分補給をしてください。

動画はこちら

この記事を書いた人

直七法衣店 四代目 川勝顕悟


法衣袈裟のお悩み解決!
法衣袈裟コンシェルジュ 四代目ナオシチに
いつでもなんなりとご相談ください
合掌
コラム
ナオシチブログ